ABバイン・ラチェットクリーニングの考察 べ~ぶるの試行錯誤
これまで3ページにわたってアキュブレイドバインディングのメンテナンスを記録してきました。
機械設計に携わっていたこともあって作業を終えてからふと気になったことがありました。というのは、シマノさんのクリーニング解説ページには、洗浄・グリス塗布後、「念のため、ブーツでステップイン&アウトを数回繰り返してみて、スムーズに着脱できるかどうか確認してください」とあります。これがちょっと気になったんです。
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なにが気になるの?
なんて声が聞こえてきそう(^_^;)
機械もの、例えばエレベーターとか自動車とかいろいろありますけれど、「動くもの」は動くことによって潤滑させる、という設計をするものなんです。
「ユーザーには動かすように勧めておくことで、グリスを潤滑させるようにしよう」という深意があるのではないか、と思ったのが一つ。これは、スプレーグリス吹きつけ後に開放時には吹き付けられない部分があって、ステップイン・アウトを何回かするうちにグリスが行き届く、そのためのお勧めなのではないかと。。。
もう一つは、ヒール・ラチェット部分に金属カスや泥などが混じる、ということなんです。グリスに汚れが付着する訳なんですが、金属カスはブーツのステップイン・アウトで金属同士が擦れるので摩耗による細かなカスが出ることはわかります。でも、泥や砂利なんていうのは雪に混じってるにせよ、その汚れが混入するのは滑走時、つまりヒールラチェットがブーツの金具を固定している時、ですよね??
ロールオーバーイメージです。マウスカーソルを重ねると固定時と開放時が入れ替わります。
固定時の状態なんて普通は見ることありませんよね、ブーツの底なんですから。ましてやベースカバーで覆われているし。どんな動きをするのか興味があったのでラチェットをプッシュする道具を作って使いました。
自作 ヒール・ラチェットプッシュ専用ツール
ラチェットの爪などマイナスドライバーの先などで押し込めばいいじゃん、とも思ったのですが、ドライバーの先が滑ってバイン本体に傷をつけたらイヤだし、ドライバーの柄とも思ったのですが長すぎるのもあって、ブーツの金具部分だけがあればいいんだよね、と自問自答してブーツを見てみることにしました。ブーツの金具をしげしげと見て、金具の直径を計測。6mm以下のものなら大丈夫ですね。別に丸棒じゃなくても出来そう。廃棄処分される予定のジャンクボックスにちょうどいい材料があったので作ってみた専用プッシュ道具が下の画像。
柄は1x4材の端切れ。金具はワイパー交換の時に出てくる板バネです。この板バネは本当に重宝します。煙管クリーナーや自動車整備というか電装施工の際の配線通しにも使えます。篆刻用の刀にも使えます(柔らかい石だけですけど)。
脱線しましたが、その板バネを折り曲げ二重にして形作っています。ヒールラチェットの爪をこの道具でクイッと押し込めば固定状態になります。
ヒールラチェットクリーニングは固定状態でした方がいい鴨
ヒールラチェットの使用時(固定時)はバネが伸びています。滑走中にこのバネの間にも異物が入りそうではないですか?さらに爪の動きを制御するパーツ(リリースレバーと一緒に動く金具)の切り欠き部分、ここに開放時の爪が納まるのですが、開放時にはその切り欠き部分の掃除は出来ないと思われます。
ということで、今後のクリーニング、パーツクリーナーで古いグリスを洗浄する際は固定状態にしてバネを広げ、開放時には洗浄できない部分を洗浄してやりたいと考えております。
いま、手元にあった百均の精密ドライバーセットが目にとまりました。この柄でもラチェットの固定は出来そうですね(^_^;)。なんでも使えそうですが、こういう作業をされる場合はラチェットの爪で指などを挟まないようにご注意くださいね。
次のページは、2013 ABバインディングクリーニング準備 です。